不動産会社は要注意!仲介物件写真の無断使用で著作権侵害が認められた判例を解説
2026/11/04
不動産業界では、物件写真をインターネット上で掲載することが当たり前となっています。しかし、「他社が撮影した写真を無断で利用する行為」は重大な著作権侵害となる可能性があります。
今回は、実際に裁判所で争われた事例をもとに、「物件写真の著作権」と「不動産会社が気を付けるべきポイント」について解説します。
目次
実際にあった裁判事例
令和4年、ある宅建業者X社は、自社が保有する賃貸物件の写真が、別の宅建業者Y社の運営する賃貸物件サイトで無断使用されていることを発見しました。X社は写真の削除を求めましたが対応されなかったため、Y社との取引停止を通知。その後、著作権侵害による損害賠償請求訴訟を提起しました。
争点となったのは、
- 物件写真に著作物性があるのか
- 写真の著作権は誰に帰属するのか
- 無断掲載が著作権侵害に当たるのか
という点でした。
裁判所の判断
1.物件写真は「著作物」である
裁判所は、物件写真について、
- 明るさの調整
- 撮影角度の工夫
- 構図の選択
- パノラマ撮影による見せ方
など、撮影者の創意工夫が反映されていることから、「思想または感情を創作的に表現した著作物」に該当すると判断しました。
つまり、単なる記録写真ではなく、撮影者の個性や工夫が表現された写真は著作権法の保護対象になるということです。
2.会社に著作権が認められた
撮影者が会社の業務として撮影した写真については「職務著作」が成立し、著作権は会社に帰属すると判断されました。 [BP-40C26_2...028_120117 | PDF]
元従業員が「自分が撮影した写真だ」と主張した部分についても、撮影当時の雇用関係や業務実態などから、会社の著作物と認定されています。
3.無断掲載は著作権侵害
Y社は許可なく写真をWebサイトへ掲載し、不特定多数が閲覧できる状態にしていました。
裁判所は、この行為が著作権侵害にあたると認定し、共同不法行為に該当すると判断しました。
損害賠償額は?
本件では71枚の写真について侵害が認められました。
裁判所は、
- 現地撮影にかかる労力
- 写真加工の手間
- 交通費等の負担
- 著作権侵害が発生した場合の使用料相当額
などを総合的に考慮し、写真1枚あたり1,000円、合計71,000円の損害を認定しました。
請求額の216万円すべては認められませんでしたが、無断使用が著作権侵害であることは明確に示された判決といえます。
不動産会社が注意すべきポイント
他社の写真を安易に流用しない
「同じ物件だから使っても問題ないだろう」という考えは非常に危険です。
物件の所有者が同じでも、撮影した写真の著作権は撮影者または撮影会社にあります。
写真の入手経路を明確にする
掲載する写真については、
- 自社撮影
- 売主・貸主提供
- 元付会社提供
- 有料撮影サービス利用
など、利用権限が確認できる状態にしておくことが重要です。
退職した社員の撮影写真も管理する
退職者が撮影した写真であっても、職務著作の要件を満たせば会社の権利となる場合があります。
撮影データの管理ルールや社内規程の整備も重要なポイントです。
まとめ
近年、不動産広告はポータルサイトや自社ホームページ、SNSなど多様化しています。その中で写真は集客に欠かせない重要なコンテンツです。
しかし、他社が撮影した物件写真を無断で使用すると、著作権侵害として損害賠償請求を受ける可能性があります。今回の判例は、不動産業界においても写真の著作権がしっかり保護されることを示した重要な事例です。
お客様へ正確な情報を提供するためにも、掲載する写真や広告素材の権利関係を確認し、適切な運用を心掛けましょう。
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